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都市伝
14: 本当にあった怖い名無し 2008/07/14(月) 21:49:50 ID:g104Ai6OO
俺の姉はいなくなってつまり失踪した。姉19くらい俺高校生
ひきこもりだったのに
大騒ぎなって。
警察いったけど見つからん
でも俺なんもできないしだから潰れかけの掲示板に投稿した
こんなににぎわってない
多分本気で探そうとかも思ってなかった
死ぬくらい悲しかったけどだって帰ってこな%
16: 本当にあった怖い名無し 2008/07/14(月) 21:58:23 ID:g104Ai6OO
焦ってると何書いてるかわからんくなるな
姉はすっげ髪長くて、やせ型で完全にキチガイで取り柄は顔くらいだった。
意味わかんね喋り方するし風呂トイレ以外部屋でないひきこもりだし
完全に頭があの世行ってた。なんでこいつこの世いんだろって感じ。
人とか普通に呪えそうだったし
なんか雰囲気的に師匠?みたいな奴
あいつキチガイだったけど
いかん指震える
23: 本当にあった怖い名無し 2008/07/14(月) 22:26:31 ID:g104Ai6OO
今思えば何でそんな奴と一緒にいたのかわからない。
姉はひきこもりだから俺が飯とか運んで世話してた。
最初は嫌だったけど姉といれば変なの見れた。俺はそういう不思議なの好きだったから。
時々洒落にならんかったけど。
姉は俺の事どうでもいいから、守ってくれないしたまに守っても完全気まぐれだったし。
だってお前弟の名前覚えてないんだぞ?ねーよw
24: 本当にあった怖い名無し 2008/07/14(月) 22:35:43 ID:g104Ai6OO
姉の部屋は本がもう山つーか山脈成してて、多分広さは十畳くらいあった筈なんだけど、本がタイルみたいになって床が見えんかった。
ぐりとぐらから哲学書まであった。とりあえず姉は本読んでた。
ただでさえ目デカいのに文字追うとき更にかっぴらいててキモかった
27: 本当にあった怖い名無し 2008/07/14(月) 22:53:01 ID:g104Ai6OO
何で俺が部屋から出てこない姉のそういう事を知ってたかって言うと、上でも記した通り俺が姉の世話係だったから。
姉は食べ終わって食器とか放置して本で潰してメチャクチャにするし、食器部屋の外に出す思考なんて論外だから、食べ終わるまで待つのが飯運び役の俺の役目だった。
キチガイっていうなかなかいない人種である姉と一緒にいたかったのもあるんだけど。
とりあえずそう言う時によく変なのはやってきた。
もしゃもしゃサラダをかき込みながら時折生まれる電波発言に俺が相槌を打ってると、ちょっとずつ目が乾いてくるのが兆候だった。
28: 本当にあった怖い名無し 2008/07/14(月) 22:59:19 ID:g104Ai6OO
人間目が乾いてくると涙が出る。
でも姉の部屋にティッシュなんて気の利いたものを期待すべくもない。
部屋には本とPCとタオルケットとエアコンしかなかった。比喩なく本当にそれだけしかなかった。
仕方なく俺はきてたシャツの袖で目を拭う。
拭った瞬間から、いつも変なのは始まった。
涙がフィルターだったみたいに。
30: 本当にあった怖い名無し 2008/07/14(月) 23:16:34 ID:g104Ai6OO
不自然に盛り上がったタオルケットから有り得ない隙間に目がのぞく。
俺たち二人しかいない家の中を走り回る足音。
いちどカーテンを開けた瞬間窓の外にものすごく巨大な顔が張り付いてたのには絶叫を禁じ得なかった。
泣き叫び少し漏らしながら姉に抱きついたが、姉はそれを一瞥すると「ツネ(たぶん姉的に「普通」の意)の大きさの胴体とバランス、わるい、ね?」と言った。
顔は異常に目を開きながらしばらくこっちを見てた。
メチャクチャデカい顔の奴が対して普通の胴体を背伸びさせて窓に張り付いてる構図はギャグマンガなら面白いだろうが現実においてはおぞましい以外のなんでもない。きめぇ。
31: 本当にあった怖い名無し 2008/07/14(月) 23:23:26 ID:g104Ai6OO
そういう姉といて体験したことを6つ選んで俺は掲示板に投稿した。姉の話をかくと呪われそうだったが、潰れかけの掲示板だったから良いと思った。
なんの前触れもなくある夜姉に消えられた俺の身にもなれ。
まあそういう事を考えられないから姉はキチガイだったのだろう。一文無しでアシも無しで警察の目?312
32: 本当にあった怖い名無し 2008/07/14(月) 23:25:57 ID:g104Ai6OO
をかいくぐる手腕とかもキチガイだし。
俺としてはどっかで野垂れ死んでて欲しい
それが一番人間らしいから
33: 本当にあった怖い名無し 2008/07/14(月) 23:31:54 ID:g104Ai6OO
書いたのは姉を探したい気持ちが半分、姉をこの世に繋ぎ止められなかった罪悪感を軽減したい気持ちが半分だった。
でもこのサイトみたいな大規模なサイトに書かなかった時点で、探そうとする気力はなかったのだと思う。
掲示板は俺が書いた後ひと月もしない内に潰れた。
仮にそのログを取り公開した奴がいたとしても、このサイトの同じスレに俺の書いた話を知ってる奴が何で二人もいたんだ?
でも姉ならできかねない
姉が呼んでる?
姉は俺を呼んでるのか?
34: 本当にあった怖い名無し 2008/07/14(月) 23:35:23 ID:g104Ai6OO
洒落怖とかなら分かるだろうか?
どこならわかる
姉生きてるのか?
死にながら俺を見てるのか?
誰があの話を広めたんだ?そいつは姉を知ってるのか?
なんで?
一体どうやって
51: 本当にあった怖い名無し 2008/07/15(火) 22:38:43 ID:rDJY5M0CO
昨日の自分が書いた読んだが、焦りきってて本当に基地外じみた書き込みになってるな…
順を追って話す。
もしかして俺達のことを知ってたり姉の事を知ってる奴、マジで教えてくれ。個人名とかだけ伏せて貰えると有り難い
とにかく姉に関する手掛かりがほしい
こんな心臓バクバクいってんの久しぶりだ。
何起こってんだろ
53: 本当にあった怖い名無し 2008/07/15(火) 22:51:43 ID:rDJY5M0CO
とりあえず姉との出会いから書く。
俺の母親が再婚して、父親の連れ子が姉だった。
それで父親の家に引っ越す事になったことが始まりだった。
それまで父親には何回も会ってたから抵抗はあんまりなかったし、それで娘がいるって事は聞いてたんだけど、一回も連れてこないことはおかしいなとは思ってた。
だから父親の家に行く事になった日が姉との初対面な訳だったんだが、姉が皆の集まるリビングに降りてくるんじゃなく、姉の部屋に皆が行くという対面会になった。
54: 本当にあった怖い名無し 2008/07/15(火) 23:08:19 ID:rDJY5M0CO
部屋を開けた瞬間、本の山。床には本と紙が本当に足の踏み場もないくらい落ちてて、カーテンも締め切られてたから部屋も真っ暗。
引いた。母親も引いてた。
こんなとこに人間がいんのかと思ったら、奥の本の陰で何かが光ってる。そこにいたのが姉だった。PCの明かりで本を読んでたんだと思う。
ほんと一目見て異様な状況だったが、奥に入ってってあくまで普通に紹介をさせようとしてる父親が痛々しかったのを覚えてる。
やがて父親に連れられて姉が出てきた。
髪が膝まであって服は何か変なシミがついてるノースリーブと短パンで、それに乗ってる綺麗な顔が逆に異様だった。
55: 本当にあった怖い名無し 2008/07/15(火) 23:20:37 ID:rDJY5M0CO
連れてこられたはいいもの俺と母親を凝視して黙り込んでる姉に、父親が挨拶しなさいと言った。
姉は真横にいた父親にすごいゆっくり首を向けて、それからまたすごいゆっくり首戻して俺たちをみた。なんかロボットみたいな動きで。
俺はもうこの家きた事後悔してた。
そんで姉が何言うかと思ったら、まず俺に指を向けながら
「オト。ハハ。チチ。アネ。一姫二太郎だね?ね?目指したの?ね?ね?」
とか言った。
瞳孔開ききった無表情で、小学一年生みたいな発音だった。
泣きたかった。
56: 本当にあった怖い名無し 2008/07/15(火) 23:32:53 ID:rDJY5M0CO
それから姉は俺達の紹介を聞く前にさっさと部屋の奥に戻って行った。
「ああ言う奴なんですすいません」とドアを閉めながら取り繕う父親は更に痛々しかった。
いやあれ「ああ言う奴」で片付けられるレベルじゃないし。そのあまりの異様さに、失礼だとは思ったが俺は「〇〇(姉)さん何か病気なんすか?」と聞いた。
「いや病気じゃないんだよ。あいつは…変わった奴で…」。
歯切れの悪い答えしかかえってこなかった。
俺はその晩母親に真剣に引っ越し中止を勧めたが、もう籍をいれてしまったのでそう簡単には行かないようだった。
あげく俺の部屋は姉の部屋の隣になった。半年後には仲良くなる名目でご飯渡しまで任された。
母の再婚は中1の春。
最初の1年くらいは死にたかった。
57: 本当にあった怖い名無し 2008/07/15(火) 23:47:42 ID:rDJY5M0CO
とりあえずそういうのが俺と姉の出会いだった。
好感度は最悪どころか、自分の娘を最初大人しいけど可愛い子だよとのたまった父親を訴えれば勝てるとさえ真剣に思ってた。
夜中にトイレから出てきたら洗面所の鏡を延々ノックしてるのを目撃した時は本当に死ぬかと思った。
中学卒業と同時に引きこもり、以来部屋から出てこなくなったんだと。学校でも膝まである髪を奔放にさせ、神社の鈴を延々鳴らしてたり制服で川に腰まで浸かって突っ立ってたりと奇行ぶりから友達もいなかったらしい。
ちなみに霊視スレに行ったら姉は生きてると言われた。本当に手掛かりがほしい
誰か周りにこんな奴いなかったか?
61: 本当にあった怖い名無し 2008/07/16(水) 00:17:50 ID:vtMRRhDpO
PCは俺が見る限り電源が切れてた事はなく、インターネットにも繋がってて、どっかのサイトにも書き込んでる形跡はあった。
黒い背景に白文字と赤文字で、ページの一番上に鳩?のスナップ写真が置いてあるサイトによく行ってたと思う。
中学までの成績表は結構優良だったから頭は悪くなかったんだと思う。ただ近所の猫を家の中に連れて来て笑いながら追い回したりと行動はおかしかったけど。
62: 本当にあった怖い名無し 2008/07/16(水) 00:29:07 ID:vtMRRhDpO
すまん、体験談は明日書く。
何か携帯の調子悪い。なんでこんな電源落ちる
姉とは関係ないと思う。
とりあえず姉は
・失踪時も細身で長髪(くるぶしまであった)でノースリーブ短パン
・「ね?」が口癖
・俺と出かけた時はスヌーピーのワンポイントが入った白いワンピースに、茶色の靴だった
・たぶんハンネはHAYA
姉じゃなくても周りに姉みたいな性格の奴がいてこんな行動をしてた…とかでも構わんから情報が欲しい。
期待させてすまん、今日はこんなところだ
83: 本当にあった怖い名無し 2008/07/16(水) 13:08:47 ID:FXuXEGWiO
長い髪には霊が寄り付くとか依代になるとか言うよな。
それから、神社の鈴は呼び鈴だ。玄関のチャイムな。何を祀った神社なのか気になる。
あと川の中に立ってるのは、記紀のどっちか忘れたがイザナギが黄泉の国で受けた穢れを落とすために行った禊の段を連想させるんだが。禊しなきゃならんような所に行ったのか?とかな。
姉のキチガイ行動は呪術的な意味合いが強い気がする。
132: 10 ◆bh4cFjBJMc 2008/07/16(水) 23:37:26 ID:vtMRRhDpO
PCは姉が出ていく前に姉が破壊したらしく、ノーパソだったから液晶も割れてめちゃくちゃになってた。
多分家族皆が出払ってる昼間にやったんだと思う。
>>83
髪そうなのか?姉は引っ張られるから便利?とは言ってたことがある
そんでそういうオカルト的なこととかには詳しかった
家にそういう本も結構あったし、訳の分からん糸で閉じられたやつもあった。古い本によくあるぐにゃぐにゃの字で書かれたやつとか、明らかに手書きの原本みたいなやつもあって、読めんのか?とも思ったが。
135: 本当にあった怖い名無し 2008/07/16(水) 23:52:57 ID:vtMRRhDpO
あと一つ訂正があって、>>56の中1の春は中2の春の間違い。
これは単なる打ち間違いだから気にしないでくれ。
待つ、とか呼ぶ、と関係ないかもしれないが、蛇に刺されて私は死ぬんだよ、とは時々言っていた。蛇なのに刺す?とか残念ながら意味はよくわからんかった
とりあえず今から書き出してみる
137: 10 ◆bh4cFjBJMc 2008/07/17(木) 00:08:21 ID:vtMRRhDpO
とりあえず姉の使ってたPCはTOSHIBAのWin98
呼んでいた本のジャンルは本当にまばらで、確かにオカルト系のものが多かったんだが、他にも児童書、さくらももこのエッセイや京極夏彦の小説、占いの辞典や裁縫やファッションの雑誌、なぜか雅楽の楽譜まであった。
時々紙にも何かが書いてあったんだが、正の字がいくつも並んでたり、顔が丸くない棒人間が沢山書かれてたり人型に切り取った紙があったり俺には用途がよくわからないものが多かった。
344: 10 ◆bh4cFjBJMc 2008/07/20(日) 23:44:35 ID:HH+GrnrNO
姉と出会って一年程立った頃。
お盆に、一家で父方の親戚の家に行こうと言う話になった。
去年は再婚のゴタゴタで行けなかったが、砂丘の県に自分たちの由緒正しい墓があるんだと。
父は七人兄弟と言うことをしきりに自慢していたが、それより俺は父のクラウンに姉が乗っていた事のが驚きだった。
親戚の家にはいつも姉はちゃんと出かけているのだと言う。
でどんな扱いを受けてるんだと思ったら、でかい日本家屋に着いた時「いざ様、いらっしゃったんやねえ~」と、叔母が真っ先に抱きしめたのは姉だった。
どうやら予想外に姉は、「いざ様」とか「いまし様」とか呼ばれて可愛がられてるみたいだった。
多分いざ様いまし様ってのはヒッキーの隠語か皮肉だと思う。居座様居まし様って漢字つけたら家に居るって意味っぽいし。
のどかな田舎だから姉みたいな生き物は珍しい動物みたいな感じだったんだと思う。
さすがにお菓子を貰ってもお茶を貰ってもガン無視で、そもそも興味ねえよとばかりに本読んでるのには冷や汗かいたけど。
でも親戚の人たちは慣れてるみたいで怒りもせず、ニコニコしながら空きの座敷を使わせてた。
で、俺と言えば母親と親戚達の相手をしつつ、姉のいる座敷を気にしつつ、やがて日も暮れて早めの夕ご飯をいただいた。
345: 10 ◆bh4cFjBJMc 2008/07/20(日) 23:47:27 ID:HH+GrnrNO
その席で叔父が「今日は夏祭りで花火も上がるからいまし様と行っておいで」と言ってきた。
地元では有名な花火大会らしく、小さい地区とは思えないくらい派手で綺麗だとのこと。
しかし場所が片道で徒歩30分くらいかかるため、年配の人が多かった他の親戚達とめんどくさがりの両親はパス。
じゃあどうやって行けと…。
微妙な顔をする俺に父が言った。「〇〇(姉)に案内してもらいいや」。
俺は思わず耳を疑った。
あの姉が花火大会に?
ねーよw
冗談かと思ってたら、叔母が姉を連れて座敷にやって来た。
「…で、じゅう君(俺)が祭りに行きたいらしいんやけど…」
「………」
戸口に直立不動で立っていた姉は、しばらく無言で俺を見つめた後、フイと身を翻した。
叔母が「良いってさ」と姉を追うように促したが、半信半疑で言葉に従うと、姉は玄関に立っていた。
狐につままれてんのかなと思った。
とにかくそうやって俺は姉と祭りに行く事になった。
346: 10 ◆bh4cFjBJMc 2008/07/20(日) 23:48:55 ID:HH+GrnrNO
祭りは確かに大きなもので、川沿いの土手の上に夜店が沢山ひしめいていた。
祭りの空気には人をハイテンションにさせる何かがある。
俺は普段のキャラも忘れ当たらないくじ屋にブーブー言ったりたこ焼きを半分こしたり祭りライフをまあ満喫して、花火が上がる会場に向かった。
花火を見る広場は、前列と後列がロープで区切られている。と言っても整理の為じゃなく、地元の自治体にいくらか寄付か何かしてる人は、券を貰って前列に行ける仕組みらしい。
俺たちは親戚の金持ちぶりにあやかって前に進んだ。
すし詰めだった後列に対して前列は歩いても人にぶつからないくらいには空いていた。
流石祭りと言うだけあって、回りは浴衣の人達が沢山いた。
もちろん姉には浴衣なんて期待すべくもない。
俺が甚平なのに対し姉は黄色の着つぶしかけのシャツと短パン、スニーカーっていう恰好だった。
膝までの髪がツインテールだったのは、人混みで食い物がくっついたら大変だと俺が結んだからだ。瞳孔開いて無表情で見つめられたが(多分姉が嫌な時の仕草)それは無視した。
347: 10 ◆bh4cFjBJMc 2008/07/20(日) 23:51:59 ID:HH+GrnrNO
やがてスピーカーから司会の人の声が流れだした。
周りの人たちのざわめきが華やいだものになって、まさにいよいよ花火が始まるって時。
姉がボソッと言った。
「わたし、花火、きらいだね」
「え?」
「カアサンが、見えなくなるからね?ね?」
母さん?
俺は一瞬「?」になった。
たしか、あんたの母さんは病死している筈では…と思ったところで、今日は星空だということに気づいた。
あー、星の事言ってんのか。
と気づくと、姉が自分の髪を踏んでゴテンと転んだのを目撃した時以来の気持ちになった。
「アネも人間らしいとこあるんだな」
「……人間?」
「星になったんだろお母さん」
花火があがった。
俺の視界の端で、白い光が散る。
昼間のような光に強く照らされながら姉は、
笑ってた。
「カアサン重くて死んだのに?」
「え?」
「潰されて立てなくて死んだのに?」
星になるの?、と更に笑みが深くなる。
「私は蛇に刺されて死ぬんだよ」
花火も見ず、笑顔で、俺を凝視しながら言うのだ。
349: 10 ◆bh4cFjBJMc 2008/07/20(日) 23:54:02 ID:HH+GrnrNO
言ってる意味が分からなくて聞き返そうとした瞬間、左手側から、ギイっと音が聞こえた。
なんか家鳴りみたいな、天井が軋んだりする時みたいな音。
振り向いた先は、浴衣を着た人がいた。まではよかった。
その人の向こうににピッタリくっつくみたいに、真っ白い人の体が三分の一くらいだけはみ出ている。
真っ白な輪郭?で、明らかにこっちを見ていた。一重まぶたの目でじっと。
……何じゃありゃ?
怖いってより呆然としてると、隣から気配が消えた。
見ると姉が人ごみに逆行して帰っていこうとしてるではないか。
いやいやいやちょっと待てよ、と、追いかけようと体を翻したその瞬間。
周りのざわめきとか花火の音が、ぜんぶ消えた。
「…え?」と周りを見回そうとした。
して、固まった。
花火を見てる人達の顔がぜんぶ、あのこっちを見てた顔になってた。
紙粘土に目だけつけて鼻口の穴二つ開けて作ったみたいな顔だった。
完全に音がない中で、俺の視界には夜空と、姉の背中と、全く同じ顔の人たち。前も右も左も。
時が止まったみたいに。
350: 10 ◆bh4cFjBJMc 2008/07/20(日) 23:55:12 ID:HH+GrnrNO
「オト、帰るよう」
金縛りみたいになった俺を動かしたのは、姉の声だった。
俺を振り向いて、足を止めてくれている。
動けるとわかった瞬間もうもの凄い勢いで走っていって姉の手をひっつかんだ。
汗がいっぱい吹き出て、顔が上げられなかった。
「人、って、オンナジだよね?ね?」
姉はその後家に帰るまで延々「ね?」を繰り返し続けてた。
ドーンドーンと上がる花火を背中に帰ってきた俺たちに、親戚達は不思議そうな顔をしてたが理由は言う気になれなかった。
353: 10 ◆bh4cFjBJMc 2008/07/21(月) 00:31:44 ID:MlRXLWFXO
姉はやたら動物に好かれてた。
でもかたつむりを素手で空から引きずり出したり(死んだ)、俺がキンチョールで殺した蜂を持ってって分解もやってたから、好かれた動物に優しくしてやるような女の子らしい感情はたぶん欠落していた。
て言うより感覚は幼児に近かったかもしれん。
姉が持ってた意味不明の物は、髪の毛と焼けた串か爪楊枝を詰めた貯金箱や死んだショウジョウバエをいっぱい入れた瓶なんかがあった。
たまにボールペンでメチャクチャになってる本もあった。
もっと沢山あったが特に印象に残ってるのはその三つ。
特に前記の貯金箱をベッドの下に入れられて殺されかけた事があるので、あれはよくないものだと思う。
でもあれは俺の髪の毛は入ってなかった筈なんだけど、そんな呪いの仕方なんかがあるのだろうか
359: 10 ◆bh4cFjBJMc 2008/07/21(月) 01:03:50 ID:MlRXLWFXO
6つの話の1つなんだが、とりあえず姉と喧嘩した翌日に一緒に出かけようと言われ、ドキドキして出かけたら公衆トイレやら何やらとにかくトイレを巡るツアーをさせられた事がある。
そしたら翌日の夜、公衆トイレで拾ってたんであろう髪がぎっしり詰められた貯金箱をベッドの下に置かれた。
太陽を直視した後に見える影みたいなのがメチャクチャに床を跳ね回って、俺は息ができなくなって、死ぬかと思った…ていうか殺されかけたんだろうなあれ。
身に起こったことより、喧嘩で弟を殺そうとした姉がオカルトで仕方なかった。
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